『おやまのかんちゃん』 小野美樹・文 鈴木悦郎・絵 「ぎんのすず」第41巻8号11月号 昭和63年 ぎんのすず幼教出版株式会社 |
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かんちゃんのおうちは、やまのおくのいっけんや。人といえば、きこりのとうさんと、里の学校にかようあいこおねえちゃんだけ。昼間はとうさんのそばで遊び、あいこちゃんが帰ってくると、草原に連れて行ってもらいます。やんちゃなかんちゃんが、嬉しさのあまり、草や動物にいたずらするたび、 そんなあるゆうがた、おとうさんが、きゅうに里へ行かなければならなくなりました。
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かんちゃんはこわいのを我慢して眠ろうとしますが、昼間いじめた花やばったのおばけが、こちらへせめよせてくるようで、ねつけません。おねえさんをよぶのもくやしいし、弱虫と思われてもはずかしいので、いっしょうけんめいこらえていると、むこうから、バンバンという奇妙な音が聞こえてきて・・・。 やまおくにのびのびと暮す、やんちゃな弟のかんちゃんと、やさしくてしっかりものの姉のあいこちゃんの、心温まる日常と、不思議な夜の出来事を描いた忘れがたい物語。 こっくりと和のまろやかさを感じる色調のカラーページと、緑色のテキストと赤紫色の単色のイラストの市松模様のようなレイアウトのページが、交互に組まれた古風な構成。 なにより、失われつつある素朴で温かくて大切なものが、絵本の中で確かな輝きを放っています。なんていとおしい姉弟なのでしょう。 |
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